西夏倉頡チュートリアル part 0 ―― はじめに

著: hsjoihs (Twitter: @hsjoihs, @sosoBOTpi)
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1. 西夏倉頡とはなにか

倉頡輸入法という、漢字を分解してその部品を 26 個のキー(ただし、X と Z は特殊な使い方をするので、実質 24 個)に割り当てることで、その部品に相当するキーを打って漢字を入力する、という入力法があります。例えば、「日」は A キーに、「月」は B キーに割り当てられているので、「A」と打つと「日」が、「AAA」と打つと「晶」が、「AB」と打つと「明」が入力できる、という入力方法です。このページでは本家の倉頡輸入法については解説しないので、そちらをお求めの方は青蛙亭漢語塾の「倉頡チュートリアル」を強くオススメします。

さて、西夏文字という文字体系があります。詳しくはWikipediaとか「地球ことば村」とかを読んで頂ければと思いますが、漢字と似て非なる文字体系で、「ノ」や「メ」といった形が多い一方で「口」のような形が忌避されていることなどが外見的な特徴として挙げられます。

𗈁𗤻𗖰𗚩 (悲華経) 第九章冒頭

ということで、西夏倉頡というのは、この二つを組み合わせたもののこと、つまり、西夏文字を部品ベースで入力するという手法です。今回紹介していくものは、河崎啓剛提案の Tangut Canjie input codes (version 3) に基づいています。

倉頡輸入法は字形ベースでの入力であるため、字の発音が分からなくても入力できるという利点があります。この文書を読んでいる人のほとんどは西夏文字の発音を全然覚えていないと想像されることから、西夏文字と倉頡輸入法を組み合わせたこの手法の素晴らしさは明らかと言えるでしょう。

2. きっかけ

当サイトを作ろうと思ったきっかけは、なんといっても先ほど挙げた青蛙亭漢語塾の「倉頡チュートリアル」です。倉頡の全てを一気に導入するのではなく、少しずつ紹介していって少しずつ慣れていくという方針で、非常に学びやすく感じました。今回、西夏文字版の倉頡を紹介する上で、是非ともこのフォーマットを踏襲したチュートリアルを書きたいという気持ちがあり、こうしてサイトを書き始めようと考えるに至りました。

というよりも、このチュートリアルを書き始めている2022年3月22日現在、著者は西夏倉頡をまだ実用レベルまで学べていません。むしろ、このチュートリアルを書いていくことによって、自分自身が西夏倉頡に慣れ親しんでしまおう、というのが今回の執筆の最大の目的でもあります。

3. おことわり

このサイトは hsjoihs (Twitter: @hsjoihs, @sosoBOTpi) が書いています。著者は、西夏文字については西田龍雄『西夏語の研究 ― 西夏語の再構成と西夏文字の解読』などを読んだぐらいの知識しかありません。一応は裏取りとかを最大限頑張ったつもりではありますが、誤りなどありましたら、上記 Twitter アカウントにご連絡頂くか、GitHub Issue 経由でご報告ください。

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